女帝容認問題
小泉首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」で女性天皇支持の意見が大勢を占め、男系維持派は世論の支持を得られず劣勢を強いられ挽回策を見出せずにいる中、一途の望みのように三笠宮寛仁親王殿下の女性・女系天皇に疑問を呈すエッセイの存在が脚光を浴びている。
これで世論の流れが変わるであろうか?そもそも旧宮家の復活を前提にしている女性天皇反対論は支持の拡がりは難しい。皇室の知識のない人だと、戦後に皇籍離脱した宮家は昭和天皇の再従兄弟ぐらいの関係ぐらいな感覚の人もいるが、旧宮家の存在が注目され、旧宮家が南北朝時代の崇光天皇を祖とした分家という縁戚だと知られるようになり、かえって旧宮家復活の期待はトーンダウンしたように思える。
また男系維持派がおもしろくらい「日本会議」や「つくる会」のメンバーと一致するのがイヤらしい。中心メンバーの八木秀次高崎経済大学助教授もかなりトンチンカンな輩で「天皇制廃絶を打ち出していた左翼団体*1が今、女系天皇容認を言い出している」とか「旧宮家の方が密かに我々に接触を求めている*2」とか世論がかえって逃げるような妄言を吐く。「Y染色体の話…」なんて論外!こんな奴が中心メンバーにいる限りは男系維持派はとうてい巻き返しは無理でしょう。本気に世論の支持を得たいならば、まず八木を中心メンバーから引きずり降ろすべきでしょう。
ただ女性天皇容認の流れが拙速すぎたという雰囲気は確かにあり、しばらくペンディングになる可能性はあるであろう。国民の支持があっての天皇制である以上、できるだけ対立を煽らずに落としどころを見つけるべきであろう。
私は基本的には女性天皇容認であるが、あえて男系維持派にアドバイスするならば、以下の3点の条件闘争に変更する以外は支持を得られないであろう。
- 女性天皇を認め、その上で女性天皇の配偶者は皇族(旧宮家を皇籍復帰させる)から選ぶことを不文律とする。
- 旧皇族のうち内親王、女王と婚姻したもののみ養子として皇籍復帰を認め、皇位継承権を与える。
- 旧皇族のうち昭和天皇の血を引く東久邇宮家のみ復帰*3を認める。
男性天皇をどうしても立てたいのであれば、2か3が世論が認める限度であろう。それでも愛子様の方に親しみを感じる国民が圧倒的であろうから、一般人から急に皇族になった男子に愛子様以上のカリスマ性を求まるのは現実には厳しい。実施には1のように女性天皇はあっさり認めて、形の上だけでも男系を維持する1の条件闘争に早く闘争変更した方が得策のように思える。
実施に女性天皇が認められた場合でも、婿殿下をどう選ぶか非常に難しい問題に直面する。天皇が政治的に利用されない為にも政治家や企業家の子息は避けるべき*4である。そうなると旧皇族というのは比較的収まりのいい選択肢として考えられるであろう。但し、男性天皇の配偶者がすでに民間人から選ばれている現状、女性天皇の配偶者だけを制限する法律を作るのは憲法上難しい。あくまでも不文律にするしかないのである。あとは女性天皇と年齢的なマッチングを考慮すると、かなりの数の宮家を作らないと運用が難しい。予算の関係から名前だけの皇族で自活してもらう*5しかないであろう。もっとも皇室か利用されないように公的な仕事に限定しないといけないが。