伝統はなぜ美しく価値あるものなのか?

 ただ古ければ価値がある訳ではない。古くから人々に愛され受け継がれているものには、普遍性と洗練性を兼ね備えている。
 普遍性は伝統をただ守り通すだけでなく、時代の変化の中で時代の変化を受け止めながら少しづつ変化し、あやゆる価値観の変化にも耐えうる普遍性を兼ね備えてきたのである。その普遍性がその伝統を生み出した民族だけでなく、ひろく世界に受け入れられる普遍性につながるのである。また時代に合せるだけでなく、伝統を受け継ぐ人々とそれを享受する人々によって、よりよきものを磨き、善くないものは改め、常に洗練され続けてきた。古いものはこれら歴史という厚いフィルターを通して今日まで伝えられてきているから、昨今生まれた今日的文化のようにフィルターを経ていないものより美しく価値があるのである。