フリーター・ニート問題でなぜ企業は断罪されないのか?

 私は11/27のエントリー「結局、低付加価値/低賃金労働を誰が担うのか」でフリーターが自分たちが産業界に都合のいい低賃金労働者であると気付き、働くのが馬鹿馬鹿しくなったのがニートの増加の一因と申し上げた。正確には90年代は自由なライフスタイルを模索する若者と、低賃金でフレキシブルな労働者を求める産業界のニーズが一致し、フリーターの需要が一気に高まったが、2000年代に入りフリーターを長期間続けたものたちが、同年代の正社員との給与差に愕然として、次々と自分たちが産業界に都合のいい低賃金労働者であることに気付いていったのが現実だと考えている。
 フリーターの増加に関しては、それ自体が問題であるか否かの議論がまだ残っているが、技術の伝承の意味や年金問題などの局面で、できるだけ正規雇用社員を増やすべきだとの意見が学識経験者の間では根強い。
 しかし日本の産業のサービス化において低賃金の非正規雇用者はなくてはならない存在になっている現実がある。また第2次産業においても厳しい国際競争の中で非正規雇用が増えている。
 学識経験者はフリーターの増加は産業界の旺盛な需要が主因であることを知りながら、きれい事のように「フリーターより正社員を増やせ」と言うのである。妙にものわかりのいい学識経験者は原因を知りながら、決して企業を批判したりはしないのである。学識経験者ばかりか、マスコミや世論も決して企業を批判したりしない。妙にものわかりがいいのが理由か現実が見えていないのかは謎であるが……。

フリーターの是非

 人件費の抑制や雇用の流動化は企業セクトに一時的にプラスに働くが、国富の面では明らかにマイナスであり、長期的には企業セクトにもマイナスである。
 現在の企業セクトがより短期的な利益を追求*1する傾向がある中、誰が国富、ひいては長期的な企業セクトの利益を考えいるのかわからない時がある。
 企業が短視眼化が進む中で、「小さな政府」で企業の自由な活動に任せていいのか非常に不安である。かといっていまさら官僚や政治家のリーダーシップは期待すべくもない。
 今できることは、我々は企業の社会的責任について厳しい意識を持ち、国全体の利益に反する短視眼的な経営を行う企業に厳しい眼差しを向けるしかない。

*1:企業は株主のものという意識が進み、投資家はより短期でのリターンを求める。