朝まで生テレビ

 テーマはタイムリーな天皇靖国。右派の論客八木秀次富田メモが本物であることを前提に発言、岡崎久彦は信憑性に疑問を呈すものの、確実な異説を提示できない状況で、否定ありきの立場は取らなかったため、土俵できちんと相撲が行われる状況が出来上がった。
 マスコミ批判の言説の中で、ネットでの議論が真実を導き出すような意見があるが、最近のネット言説の劣化の著しさを見る限り、この番組はまだまだ必要と感じた。
 田原総一朗が岡崎氏にあの戦争の責任者は誰かと問うたのはGJである。岡崎氏は近衛文麿広田弘毅、米内光政の名を挙げていた。姜尚中広田弘毅が同情的なことを考えると面白い。岡崎氏は軍部でなく、(殺されるのを恐れて)軍部の言いなりになってしまった民間人により責任があるとの考えであろう。
 この辺はイデオロギーというより責任論の問題である。とにかく保守派が戦争責任の問題から逃げている、逃げているというよりその話題を出すことをタブー化*1しようとしている現状において、風穴をあけた。
 現在「諸君」や「正論」といった保守論壇は、中国や韓国の悪口を書くだけで、日本人が今やらなければいけない議論から逃げていると思う。保守派の中から良識的な編集者が登場し、あえて議論しようという人が出てくることを期待したのだが、議論をすると必ずネガティブな評価も出てくるから、死体に鞭打つ行為だと言って急にいい子ちゃんになる。
 死後も歴史的に半永久的に批判されるというのは残酷かも知れない。しかし一国の指導者という地位が歴史的に批判される可能性があるのはある意味宿命で、それだけ厳しい立場なのだ。それが嫌な人間は一国の指導者などになってはいけない。

*1:愛国心をタブー化した左翼と同罪