現業公務員の賃下げについて

 財務省が、現業公務員の賃下げを要求した。

私はこれまで何度となく、ホワイトカラーとブルーカラー或いは高等教育を受けたものとそうでないものの賃金格差が世界で最も小さい日本を「素晴らしい!」と絶賛し、それを悪平等だと批判する言論やその現状を改めようという動きすべてを批判してきました。

 残念ながら、現在では民間企業に勤める低賃金労働者が積極的に公務員バッシングを行うようになりました。特に自分たちと同じような仕事をしていながら、中小企業のホワイトカラーを上回る賃金を得ている現業公務員に対して妬みがあるようです。
 かつての労働運動においては、官公労が福利厚生や男女平等等を勝ち取り、民間がそれに続くという公務員先富論を黙認し、「公務員の待遇は明日の我々の待遇である」という認識があったようですが、今ではそんなものは虚像で、公務員の厚遇だけが浮いている状態でしょうか?
 私も公務員を厚遇するのがいいとは思いませんが、現業公務員の低賃金化を単純に賛美してはならないと思います。なぜなら現業務無員は労働市場を同じにする民間現業員の賃金を上支えする効果があるからです。例えば民間バス会社は公営企業より余りに低い待遇では社員募集がしにくい。また民間バス会社がある程度の賃金を出しいているとタクシー会社やトラック会社は余り低い待遇では人を雇えない。労働市場をある程度共有する業界では、極端な賃金水準差が生まれにくいののです。もし公営企業が廃止されたら、吊り縄が切れた天幕のように、現業労働者の賃金破壊が起こり、労働ダンピングが滑車の如く加速する危険性があるでしょう。