そして右傾化した庶民と自衛官だけがバカを見る

 防衛省の守谷元事務次官の逮捕により、日本にも防衛利権という巨大な闇が存在することが次第に明らかになってきた。そもそも我々は防衛政策に対して余りに純粋無垢であり過ぎたのではないか?
 そもそも近代において戦争とは利権そのものであり、それに比べれば、戦後日本の道路利権土建政治の話などかわいい問題に過ぎない。それなのに戦後の日本人は防衛問題を崇高なイデオロギー問題に祭り上げてしまった。そして道路族族議員などを手垢に塗れた利権政治家と蔑む一方、防衛族議員を日本の国家のあり方を考えていらっしゃる崇高な政治家であるかのように一目が置かれていた。ここで明らかになったのは、防衛族も道路族と同様の利権政治集団であり、実際はかなり醜悪であるということである。
 そもそも現代行われている戦争は例外なくすべて利権であり、それ以上の崇高な理念など存在しない。ただそのような意見を言うものをすべて「サヨクだ」と切り捨て、聞く耳を持たない人が多かったのである。
 ただ何の利権のおこぼれにも預かる見通しのない一般庶民が、国防を語り、国防の必要性を説き、軍備の整備拡張、積極的な武力による国際貢献を説くのか? 右傾化した庶民だけが、ただ単に純粋な夢を見ているのである。
 純粋な夢を見ている庶民が信奉している防衛族議員、タカ派議員は決して純粋ではない。防衛が最大の利権であり、今日本が追随しているアメリカが行う戦争が世界最大の利権であることを知りつつ、その利権システムの渦中にいるのである。
 そして、本屋にいけばドロドロの利権を崇高な物語に転化することに貢献する「SAPIO]や「WILL」などのお馬鹿雑誌が積まれている訳である。
 何のおこぼれもないのに夢を見ている右傾化した庶民のみなさんは本当にエライと思う。それから忘れてはいけない、日々厳しい訓練に励み、政治家や幹部官僚の判断一つで灼熱の熱帯の太洋や砂漠地帯に派遣される自衛官のみなさん。こんな酷い状況でモチベーションを維持できる精神力に脱帽する。