株価下落で反撃を開始するネオリベラリスト

 株価下落が止まらない。それを待っていたかのように、ネオリベラリストが息を吹き返したように叫びだしている。お決まりの紋切型で「改革を止めたから外国人投資家が逃げ出した」と。
 一番酷いと思ったのが、KYボケ老人電波芸者田原総一郎日経BPのコラムだ。

参議院選の自民敗北が引き金

なぜ外国人投資家が逃げるのか。いつから逃げたのかということを調べると、昨年の8月から逃げている。昨年の8月が何かというと、7月の参議院選挙で自民党が大敗した直後の時期だ。自民党が大敗して逃げ始めたということは、もしかしたら日本で民主党政権ができるのではないかと思って逃げだしたのか。
 しかし実は、大敗の原因が日本のマスコミや政府関係者のとらえている理由とまったく逆ではないかということがわかってきた。
 それは何か。小泉内閣のときは、どんどん外国人投資家が増えてきた。なぜ増えたかと言うとこれは明らかに構造改革のおかげだ。道路公団民営化、あるいは郵政民営化と、どんどん構造改革をやって、不良債権を減らしてきた。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/080117_43rd/

 小泉政治で一定の評価ができるのは不良債権処理だけ。道路公団民営化は道路特定財源問題という本丸から逃げてお茶を濁した結果に過ぎないし、郵政民営化は「その意気込み」とドラスティックな政治手法が過剰に投資家に好感されたに過ぎず、郵政民営化自体はあれだけ政治的エネルギーを注いだのに日本経済のプラスになっていない。
 田原総一朗小泉時代を懐かしむだけで、現在的問題に全く向き合っていない。現在の「日本売り」の原因は「改革が足りない」とかいった抽象的なお題目ではなく、圧倒的に個人消費が弱く、一部輸出型企業の好況に牽引されているだけで、国内需要型企業、中小企業、地方経済の弱さが顕著で国民所得はなお減り続けているからである。
 このような状況になったのも、最高益を更新しても人件費削減や下請企業の納入価格引下げに血眼になり、富を独占しようとした輸出型企業のトップが牽引する財界に支えられ、その企業の要望を丸呑みしてきた小泉−安倍政権にも相当の責任がある。田原を始めこれらの政権を支持してきたネオリベラリストは概ね無批判である。
 このような分析は何も政権批判のロジックでも何でもなく、昨年来常識のあるアナリストの間では共通認識であった。そのような分析は多々あるが、わかりやすいものを紹介したい。

同じ日経BP森永卓郎氏が面白いことを書いているので参考まで

「日本は没落した」はハゲタカの言葉

 「日本には未来がない。こんな国の株を買っていたら大損をする」。これから日本株を買うのだから、株価を下げるように誘導すればいいのである。そうして底値になったところで株をごっそりと買い、株価をつり上げてから売るわけだ。
 そう考えると、冒頭で述べた「日本はダメだ」と論評している評論家は、こうしたハゲタカの片棒をかついでいる人たちではないかと勘繰りたくなってくる。さもなければ、まったく経済を分かっていない評論家のどちらかだろう。
 冷静に考えれば、本当に日本がダメかどうかは判断がつくだろう。米国製の車や冷蔵庫を欲しいという人がどれだけいるだろうか。それに対して、日本の車や冷蔵庫なら、いくら高くても欲しいという人は世界にいくらでもいる。
 ましてや、日本の工作機械、時計、計測機器の評価が、大きく落ちたとは思えない。先進国のなかで、日本の技術が落ちたわけではけっしてないのだ。
 こうした状況を考えてみれば、少なくとも株価も為替も、いつかは本来の水準に戻るはずだということが分かるだろう。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/116/index.html