大阪府知事選橋下圧勝でも自民党反転が難しい二つ理由

 この結果を、小泉郵政選挙の再来と錯覚した人は多いだろう。底堅い自民・公明の基礎票の上に、無党派層を票を多く集まれば鬼に金棒、圧勝の方程式である。また若者と女性に支持された点も小泉郵政選挙に似ている。
 明日の新聞は「民主小沢党首の求心力低下免れず」「自民党反転の足がかり」と言った見出しが躍るであろう。民主党がどうなるかは別として、自民党がこれを反転のきっかけにするのは難しいと見る。
 小泉自民党を支持した若者の心理は以下の三つに分類できる。

 この3つは3年前まで一体化して区分が難しかったが、いつ自民支持から離れたかで区分ができる。まず最初に離反したのは改革派で、安倍内閣郵政造反組復党を決断した時に多くの人が離反した。次に安倍内閣から福田内閣に移行して保守派が離反した。小泉時代自民党を支持した若者で今でも自民党支持を明確にしているのは媚権派だけである。
 離反した層は別に民主党支持になった訳ではない、ただ無党派層として漂流しているだけである。この漂流した層を小泉にタイプの似た保守改革派の橋下候補はうまくキャッチすることができた。
 この成功体験を次の衆院選に活かせば、自民党は勝てるのではないか?という考えも浮かぶが、それは二つの意味で非常に難しい。
 一つは今の自民党は固定客の満足度を挙げるとに邁進し、既に「改革」を旗印にできないところまで突き進んでしまっているからである。また「改革」は固定客の利害に抵触し、それを避けるベクトルが働いている。
 もう一つは、前回の選挙で大勝し、若者、無党派受けするような候補者を立てる余地がない点である。引退議員の後継のほとんどが世襲で引き継がれ、無党派受けしそうな人材はすべて民主党に流れて*1しまっている。郵政選挙自民党が議員の新陳代謝を進めるチャンスであったが、拙速な選考で不良議員を多く選んでしまった。
 あの時は、小泉パワーで、利権の代名詞のような酷い議員や、資質の疑わしい新人議員までバブルのような大量得票で当選したが、その再来はまずないであろう。自民党というのは議員中心主義で中央が強制的に魅力のない議員を引退させることができない。参院選での敗北も、あまり語られることはないが、候補者力のなさが多大に影響している。その意味で、次の衆院選はかなり厳しいと見ている。

*1:自民党からの立候補が不可能な状況なので、考え方が自民党に近い人まで民主党から出馬するしかない状況がもう10年近く続いている。