なぜ官僚は麻生政権に協力しないのか

 麻生内閣公務員制度改革の「工程表」を策定出来ない。人事院谷公士総裁が麻生総理自ら本部長を勤める国家公務員制度改革推進本部の会合をボイコットするなど徹底抗戦しているためだ。谷総裁は与党内の根回しを徹底し、官僚OBの議員を中心に人事院の意向もよく踏まえるように麻生総理に進言し、先延ばししようとしている。
 谷総裁をクビにするという手もあり、これは麻生内閣の支持率回復の絶好のチャンスとも思えるのだが、人事院総裁は国会承認人事であり、クビにすると参議院で多数を握る野党に人事院総裁人事の主導権を取られてしまうのが嫌なのらしい。
 不思議なのは2点ある。まずは官僚はなぜ、少しは麻生内閣に協力して自公政権維持に協力しないかということ、もう一つは麻生内閣はなぜ野党に多少の手柄を取らせても公務員改革を強力に推進しないかという点である。
 前者については、このまま麻生政権の低支持率が続けば政権交代が現実のもにになり、民主党中心の政権となれば官僚組織にはもっと不都合ではないのか。だったら多少妥協してでも麻生政権に手柄を取らせて麻生政権の支持率を上げて政権交代を阻止した方がまだ得ではないかと思うのだが。結局、選挙になっても辛うじて自公が勝って政権交代など起きないと達観しているのか、民主党政権が官僚組織の協力なしに政権など運営できないと悟って、じきに公務員改革など諦めるだろうと達観しているのであろうか。
 また麻生内閣に公務員改革を支持率回復のネタに使う知恵がないのも不思議だ。例え野党に手柄を取らせても、人事院総裁に公務員改革派を据えれば結果的には麻生総理の手柄になる。
 結局、官僚も麻生総理も「相手に名を取らせて、自ずからは実を取る」という政治ができず、結果的に麻生総理も官僚にも不利益な結果が待っているのではないか?