麻生総理の失言の特徴

 政治家の失言は昔から耐えないが、失言と世論の関係を見ると時代により変遷がある気がする。

80年代から90年代前半にかけて

タカ派政治家が先の戦争を美化する発言をして、中国・韓国が反発。マスコミや野党がその政治家を糾弾し、国会審議がストップして、大臣なら罷免されるパターン。
 この当時はネットが発達していなかったので、右派的世論がまったく聞こえてこなかった。もしかしたら当時から「よくぞ言った」という意見があったのかも知れないが、聞き漏れてこなかった。

90年代後半から安倍政権時代まで

 タカ派発言に対して、中韓やマスコミや野党は批判するが、ネットでは「よくぞ言った」とかマスコミや野党の「揚げ足取り批判」の方が勢いがあり、失言より保守派向けのリップサービスとしてのプラス効果さえ認められる。

麻生総理

 タカ派政治家と思われたがなぜかタカ派的な失言はしない。年寄りとか医者とか高額所得者など、なぜか伝統的な自民党支持者を敵に回すような失言をする。
 ネットではマスコミや野党の揚げ足取り批判も若干は散見されるが、そもそも失言の内容で歓喜する人が誰もいないので、その批判も勢いがない。

 麻生総理はタカ派的な失言をなぜかしないのは、外務大臣経験者としての経験値なのか、一種の良識は備えている部分はあるのだろう。ただ先の「高齢者は働くことしか能力がない」のように、まったくリップサービスにならずマイナス効果しかない失言ばかりする。
 その内容は年長者を敬うという日本の伝統的価値観と対立し、保守主義者が拍手喝采歓喜乱舞する90年代から安倍政権までの失言のパターンとはまったく異質であると言えよう。