市民派は、最初から反対意見を表明する人より、同じ意見を貫けなかった人を激しく攻撃する。

 大阪市の橋下市長。まあ橋下市長が原発再稼動反対を貫かなかったのはなんとなく予想通りという感じだが、脱原発派が、最初から再稼動させようとしていた勢力以上に橋下市長を叩いている現状はいささか違和感を覚える。まるで最初から原発再稼動反対を言わなかった方がよかったような印象を与える。
 どうも市民派の人は、最初味方をしたが途中で説得されて方針転換した人を、最初から自分たちと逆の立場を取る人以上に叩く習性があるような気がする。最初から騙す目的であれば憤慨していいが、現実政治で譲歩はつきものであり、譲歩した政治家を裏切り者と罵り続ければ、やがて罵る方が孤立するだろう。
普天間移設問題に関する鳩山総理への批判にも既視感を覚える。鳩山総理の叩かれ方を見ると、最初から県外移設を言わないで辺野古異説を強行する立場を取っていた方がマシだったように見える。
 かつて2回にわたり与党を経験した社民党も同じ目に遭っていると言える。与党として政権に参画すれば様々な妥協を強いられるが、その度に市民派に裏切り者との謗りを受け、もはやほとんど支持者のいない政党になってしまった。
 そのような態度を取っていては、市民派は政治家にとってのババになる。「市民派は少しでも妥協したら恐ろしい敵になるから、自信がないなら最初から彼らの味方などしない方がいい。」というのが政治家のセオリーになってしまい、ますます味方をする政治家がいなくなるだろう。