凶悪少年犯罪の質的変化

 昨日は少年犯罪の量的変化について言及したが、今日は質の話である。
質の変化については確かに変化を認めざるを得ない。戦後から昭和40年代前半までの少年犯罪は、少年独特の野蛮性・暴力性の露呈であったが、少年たちの武性をそぎ落とし文性を与えることによって犯罪を減少させた。
 しかし近年の少年犯罪の被告は、武性をそぎ落とされた「去勢*1された少年」たちなのである。いわゆる「いい子」による犯罪の勃発である。データがないので何ともいえないが、実際には今での少年犯罪の大部分は少年特有の野蛮性を露呈させたいわゆる「悪い子」たちの犯罪であろうが、去勢された「いい子」たちも人を殺めることがあると人が思い知らせらたのが事実である。
 ただ私はこの事実をそれほど深刻には考えておらず、女性も人を殺すのと同じ程度のものと認識している。女性は男性に比べて殺人率は20%以下と言われているが、野蛮性が少ないが「執念」「嫉妬心」「復讐心」の露呈による殺意というのは起き得る。
 いわゆる近年の「去勢された少年」たちの凶悪犯罪は女性による犯罪に似たところがある。ただこれを減らすというのは極めて難しい問題である。少年特有の蛮行は去勢すれば済むという簡単な術法で済んだが、そうは行かないのである。教育現場でも、今までは粗暴な古典的な「悪い子」に目を付けて指導すればそれで済んだのに、今では一見「いい子」が人を殺めてしまうかもしれない。単純に行かないから人々は少年による凶悪犯罪に異常なまでに不安を抱くのであろう。

*1:現実の去勢でなく、精神的去勢のこと。ちなみに本当に去勢すると犯罪率も減少する。古代中国の宮刑も実は合理手的な刑罰であった。