環境問題=左翼という貧困な思想

 最近人気の池田信夫ブログだが、最近は首をかしげる内容が多く、今回は真っ向から反論したい。
 氏曰く、左翼の最後の砦が歴史認識と地球環境とし、地球環境問題で以下のように述べている。

 地球環境問題は、アル・ゴアに代表されるリベラル派の世界的な結集点になっている。市場にまかせていてはだめで規制が必要だ、という社会主義的な主張はほとんど相手にされなくなったが、この分野だけは規制強化論が勝利を収めているようにみえるからだ。社会主義で運営されているNHK統制経済を主張するのは、わからなくもない。
 しかし、これは経済学的にはナンセンスである。京都議定書の想定する温暖化ガスの排出権取引にともなって行なわれる排出権の割当は、地球規模の配給制度を作り出し、その効果よりもはるかに大きな経済的損失をもたらす。かりに温暖化の影響がIPCCの予想どおり起こるとしても、ピグー税のような市場ベースの対策が望ましい。統制経済の失敗は、社会主義でたくさんだ。

 地球環境問題を未だにイデオロギー問題に回帰させる言説を張っている。石原慎太郎でさえ環境問題での対応が評価されて、再選された一因にもなっているのである。彼はもちろん左翼ではない。
 私は「環境問題=左翼」としてきた保守陣営の怠慢こそ糾弾されるべきものである。日本の伝統や文化は日本の豊かな自然環境と表裏一体に存在しており、伝統を守ることを重視する人は自然を守ることを重視するのが当然なのである。それを自然環境保護は左翼だから敵視するというのは全く思想としては統一されていない。もちろん保守といっても伝統を重視する立場と経済を重視する立場があるのだが、日本のかつての保守は後者の経済保守に引っ張られる形で環境政策を軽視してきたのである。
 私は石原慎太郎は好きではないが、ある意味でかつての保守の総括がきちんとできており、だからこそ支持される側面がある。一方池田信夫にはかつての保守の悪しき痕跡が垣間見られ、激しい違和感を感じるのである。