日本人にとっての宗教

 クリスマスになると、日本人の宗教観の不可思議さというかぎこちなさを感じずにはいられない。クリスマスはまさに宗教の表面部分だけをファッションだけを享受している典型で、その精神部分にはまったく踏み込まれていない。しかも日本では、宗教の精神的部分を享受している人に対して白眼視する傾向さえある。
 まあキリスト教が日本における歴史が浅く、影響力が小さいので仕方ないにしても、仏教や神道においてはどうか?仏教の本質はキリスト教以上に哲学的で難解であって、その布教にあたって、咀嚼するどころか表層化してしまい、言葉の意味・解釈をせずに呪文化してしまったために、精神的なものを庶民に伝えずに今日に至ってしまっているのではないか?神道はそもそも自然崇拝から発していて、人間の内面に迫ることを求めていなかった、中世以降、仏教や儒教の影響を受け、宗教らしい形態を備えたに過ぎない。
 結局、日本人にとって昔も今も、宗教はそもそも生活の表面を彩るものであって、精神にまで入り込む対象ではないのではないか? ある意味、イベントとしてクリスマスを消化する態度は、江戸時代のお伊勢参りに通ずるものがあるのではないか?