嫌韓派受難の年

 2004年をマスコミは「韓流」の年と言うが、私はあえて「嫌韓派受難の年」と名付ける。ここで言う反韓派とはネット社会に棲息するネット保守層の中で特に韓国への攻撃を好しとする層のことである。
 そもそも嫌韓派は受難との抱き合わせで勢力を増してきた。2002年の日韓W杯共同開催時、準決勝まで勝ち進んだ韓国に対して、八百長だの金品による買収だのと罵り勢いをつけてきたのが彼らである。「準決勝でドイツを応援する運動」を展開したが、政府のW杯を成功させたい威信やマスコミの日韓友好ムードに完全に抹殺され、日本国内では彼らの存在さえ知らず、W杯により日韓の友情が深まった印象だけ残った。一方、韓国では2chYahoo!掲示板等に韓国を罵る書き込みが怒涛のごとくなされていることは報道されており、韓国内のナショナリズム的なネチズンによる反撃的反日攻勢が為されたが、韓国のマスコミは冷静に事実だけを述べるにとどまり、大きな騒ぎにはならなかった。
 韓国側にもW杯の成功が国の威信につながるとの思いがあったのとともに、一部の国にとってプラスにならないネチズンの行動を国家・マスコミ挙げて無視するというある種全体主義的な行動を「大人の行動」と見習ったとも言われる。
 今年もネット上で「韓流ブーム」に反発するように「50歳以上のババァうざい」「氏ね」と言ったような、韓流ブームを50歳以上の中年女性に限定的に起きている現象にマスコミが踊っているといった展開の主張が為された。また今年の漢字に「韓」という字が選ばれるという噂が広がると、ネット上で反対運動を盛り上げ、逆転で「災」を1位にすることに成功したとも言われているが、彼らの行動はまたもマスコミから黙殺された。彼らが自分たちの味方と思いたい読売新聞や産経新聞でさえ、韓流ブームを盛り上げる側に回ってしまい、彼らの失望感ははかりしれない。
 あまりにも強力な韓流の中で、韓国を批判するのを止め、北朝鮮批判に限定したり、中国批判に方向転換したネチズンも多いと聞く。
 この3年間は国家とマスコミの共謀による情報操作による日韓友好というのは、嫌韓ネチズンの主張であるが、逆説的に言えば、日本はいつでも反中ナショナリズムをリデュースする術を持っているとも言える。