浪漫保守主義の行方

 冷戦期の日本の政治の主役が現実保守主義であるとすれば、現代の日本の潮流は浪漫保守主義であると言える。まるで尊皇攘夷の吹き荒れた幕末のようである。
 今アジア各国の拒否反応に合い膠着状態である。浪漫保守派も中国を非難するだけ。声高に叫べば叫ぶほどアジアの中で日本が孤立するだけで、日本の国益を導く手立てはない。*1下手すれば近年の成果であった首相の靖国神社参拝や目の前にまで迫っていた常任理事国入りさえ逃がしかねない情勢である。攻めるには得意だが守勢に回ったら防戦一方であることを露呈してしまった。
 特に「土下座外交」なんてセンセーショナルな言葉でナショナリズムを煽った人間は反省すべきである。社会人であったら、自分が悪くないときでも謝らなければならいことがあるのを知っているはずだし、自分の非を認めず謝らない人間は徹底的に嫌われることぐらい社会生活の中で学んでいるはずである。プライドだけで飯が食えると思ってるのであろうか?かつでの左翼がアカデミズムや内輪での議論に終始し崩壊していった二の舞のように見えてくる。ごく一部の人間がプライドにしがみ付いて食わねど高楊枝を咥えるのは構わないが、とうてい日本の未来を預けることはできない。
 幕末の志士が世界を知ることによって、攘夷は非現実であると知り、開国派に転じたことを非難する人がどこにいるであろう。もう一度世界に目も向けると同時に、金もうけと言われながらも低身に財を築いた商人ニッポンこそ我等の誇りであることを再認識することも必要ではないか。



もちろん、政府が中国での日本企業の利益や国際舞台での状況打開のために、謝罪や妥協をするとそれはそれで日本国内のナショナリズムが沸騰して大変なことになるっていう現実も理解はしているのだが……
 自称ナショナリストって「国益」という言葉を好んで使うが、私はナショナリスムと国益は矛盾することが多いと思うこの頃。
 まだ国民が金の亡者だったバブル時代の方がまだマシな時代だった気がして、浪漫保守主義から現実保守主義への回帰を提言してみた。

*1:中国の方が悪い!というのはもっともだが、中国の方に謝らないと問題が進まない状況が全くなく完全に強気に出られる状況にある。日本にはカードがない