中国は民主化しても反日であり続ける 阿久津博康 氏のコラムについて

http://www.policyspace.com/archives/200505/post_355.php
 中国は独裁国家だから、共産主義だからという問題はアメリカの論理*1であって、それを問題視する考えは日中問題では意味がないと思う。
 民主主義が際限ない愛国主義を招くというのはどうも東アジアの病巣である。これは欧米においてキリスト教大きな物語として愛国心の上部思想として機能しているのに対し、ことに東アジアにおいては民族そのものが最上部の物語になってしまう*2構造に由来すると考えられる。
 中国が例え民主化されたとしても、政治家がより世論を意識するようになり、或いは利用するようになり、党政拡大や国内政治の失敗から目を逸らすために反日を利用するという現在の韓国と似た状況になることは容易に想像できる。
 日本も反日カードの威力を減退させるために戦略的な謝罪を行う方法もあるが、悲しいかな日本もやはりアジアの国であって、愛国心が上部思想に昇華する危険性を孕んでおり、容易に外国に対して懐柔できない構造になってしまっている。
 東アジアの経済的相互補完を推進に共存共栄を図る経済界等の上部構造と、お互いに自尊心を満たし罵りあう愚衆下部、内心では上部構造の利益を優先しながら選挙対策上表面的に下部構造を煽動する政治セクトという構造が悲しいかな東アジアのスタンダードになるであろう。私も愚衆批判やエリート主義は好きではないが、ヒエラルキーを用いて説明するしかない状況なのである。既に政冷経熱日中関係はそれを先取りし、韓国はすでにこのような国内構造が出来上がっている。 日本も愚衆層が急速に形成され、この形に近づきつつある。 
 大事なのは、国と国という単純な構造に帰化するのでなく、夫々の国に上部構造下部構造があり、そのバランスの中に政治があるということを理解することではないか。

*1:民主かなき経済繁栄はないというアメリカの思想を中国が打破する可能性を恐れている。

*2:日本は既に民族主義大きな物語にしてきた歴史があるが