メカ萌え

 東浩紀の「動物化するポストモダン」以降盛んになったヲタク研究の中で萌え要素についての研究が為されているが、そのベーシックな要素であるメカについて意外と言及が少ないのが常々不満であった。美少女キャラうんぬんが注目される以前はメカがヲタクの嗜好の中心であったし、ロボットアニメや特撮モノ、プラモデルなどはヲタクという言葉が登場する以前から少年たちの心を魅了してきた。
 いきなりヲタク論から入ると議論が袋小路に入ってしまいそうだが、そのそもロボットに限らず、いわゆるメカというものに男の子は萌える。車や飛行機や電車などの乗り物や建物やカメラやコンピュータなどの機械全般に萌える。
 機械それぞれの有目的性に基づく趣味の世界の話は割愛して、その機械そのものが持つ質感やデザインに萌え要素が詰まっている。この世界の歴史は古く、戦前の愛国少年を魅了して止まなかった軍艦やゼロ戦にまで遡ることができる。
 なぜ男の子は機械的な質感に萌えるのか?それはどうして男の子だけが興味を持ち女の子は興味を示さないのか?実のところよくわからないし、すごい基本的なことなのに余り緩急している人もいない。親が男の子の趣味と女の子の趣味を決め付けていて、与えられた子供が受動的に嗜好を決定付けられるという説ももあるが、今ひとつ納得し難い。
 私も、リベットが突出して滑らかでないボディー、露呈したパイプに著しい興奮を覚える。ガンダム旧ザクなどは私の嗜好を見事みフィットしたものだ。まるで私と同じような嗜好の人が多数あることを計算してデザインされたようだ。