イメージ先行の安易な公務員バッシング

 自民党民主党が国家公務員人件費の抑制についての政策を出してきた。大いに結構だし、歳出に占める人件費の割合を考えても避けて通れないのは明らかで、遅きに逸した感もあるぐらいだ。しかし各党とも総論レベルに終わっており、具体的にどの部門を減らすのか、人員減か給与単価の減を行うのか*1、地方への財源移管とリンクして国家公務員を一部地方公務員にするのか?それでは地方公務員が増えて地方財政を圧迫するがどうするか?といった具体的な施策を示して欲しい。
 具体的な策を示す前に、感情的な公務員バッシングに走る政治家、それに拍手喝采するジャーナリズムが健全な政策論争を妨げている。何かを悪者に仕立て上げ、それを叩くことによって有権者の支持率を得る手法はまさにナチスゲッベルス宣伝相が多用した手法である。竹中平蔵なぞは「郵政の職員は楽だから国家公務員でいたい」などと公務員=ラクチンというステレオタイプなイメージを持ち出し建設的でない子供騙しの公務員バッシングを展開、小泉首相自身も「役人天国」などとわかり易いフレーズを使って扇動している。日本を役人天国にしたのは自民党*2なのに、自民党の過去については自分とは関係ありませんかの如くの振る舞いをするのは新人議員ならともかく、ベテラン議員でしかも自民党総裁がするのはいかがなのか?扇動的な言葉を発する前に、天下りや談合の問題をどうするか*3政策を出すべきだ*4有権者を舐めている。働かない公務員がいるのも事実だが、多くの公務員は真面目に働いている訳であるから、何より彼らに失礼である。
 私は小泉政治についてはある程度は評価しているのだが、B層狙いの子供騙しの政治手法が大嫌いである。小泉首相ヒトラーというのはいささか乱暴だが、彼の政治手法を見る限りでは強ち間違ってはいない。もちろん、小泉政治に安易に迎合し拍手喝采をおくるマスコミや有権者はもっと嫌いである*5。単純明快な勧善懲悪劇でエクスタシーを得たいのであれば、後楽園ホールにでも行って下され。日本の未来を歪めるので投票所に行かなくて結構。

*1:尤も公務員の給与は地方の民間水準から見れば高いが、都市部の民間基準で見ればむしろ安い。

*2:官僚組織を自民党シンクタンクにする代わりに官僚の利権を確保してあげたという持たれ合い構造。

*3:同期が次官に昇進すると、残りの同期が退職する慣行が天下りを誘発しているので、ます改めるべき。年上や同期の部下がいるとリーダーシップを発揮しにくいという儒教的価値観に拠る慣例だが、民間企業にはこのような慣習はないので、悪習として廃すべきだ。

*4:一部のアンポンタンは役人=郵政公社職員と置き換えて、郵政民営化役人天国解消と解釈しているようだが、郵政公社職員と天国にいる役人は異質である。

*5:小泉支持者が嫌いという訳ではなく、手法に共感している人が嫌いという意味なので悪しからず。