運輸事業の規制緩和で何かよくなったのか?

 結局、規制緩和で行政の手間が増えているのである。我々は規制緩和を小さな政府の実現とパラレルに考えていやしなかったか?これは一般的には真逆で、競争が激化する程、行司の数が必要になり、行政コストが増すのである。では何のための規制緩和なのか?
 確かに規制が新しい産業の成長を阻み、それによって国の成長力が阻害されることはある。しかしバスやタクシーは成長を促すべき産業なのであろうか?観光バスの単価はここ10年で大幅に下落したが、何か目に見えていいことはあったのだろうか?スキーバスの運賃は確かに下がったが、それはスキー人口の回復の何の貢献にもなっていない。ツアーバスを使えば数千円で地方都市に移動できるようになったが、それはそんなに素晴らしいことなのであろうか?
 こう考えると、我々は「規制緩和」という言葉を余りにも過大評価し過ぎていたと改めて冷静になった方がいい。規制緩和によって経済成長に貢献したのは実は通信業くらいで、弊害が目に余る事業の方が多いのである。