格差否定論

 格差否定論が急速に勢いを失ってる。小泉政権時代に総理が「格差はあっていい」と発言していた時代には、自民党内にも格差否定論を張る議員も多くいたが、今では自民党の先生方も「格差解消に努力する」立場を取る方々がほとんどだ。元々自民党は商店主、自営業者、農業従事者など衰退し没落してゆく人たちの支持で成り立っている(特に地方選出議員は)ので、ホンネはともかく表面上「格差を是正します!」と宣言するのは必然なのであろう。
 与野党含めて、格差否定論を張る人が居なくなる中で、財界人やエコノミストの中でホンネは格差容認論者も悪者になりたくない余りに口を閉じ始めている。
 その中で今でも「格差否定論」で頑張っている人たちを紹介したい。
 一人は星野仙一である。彼は日本テレビの夜の報道番組「NEWS ZERO」のコメンテーターを務めているが、村尾信尚格差社会について意見を求められ「世界を見て下さい、他の国に比べれば日本の格差は無い方ですよ!」 と堂々と発言した。「日本は格差が少ない」という認識は直近でなく過去のデータに基づいた誤った判断又は発展途上国と比較した場合にしか起こらない訳で正直お粗末であり評価できない。正直、高額所得者である星野仙一最高税率を更に引き下げ高額所得者有利の税制を望んでおり、最近の格差是正論は容認できないというお金持ちの意見を代弁したに過ぎないと穿った見方をしたくもなる。ただホンネでは「格差なんてあっていいじゃん」と思っている人たちが、批判を恐れ口をつぐんでいる現状下で、堂々と持論を吐いた点だけは評価したい。
 ブログ界でも、右派ブロガーの中に「格差論を言うのはサヨク」という雰囲気が1年ほど前まではまだあり、格差是正論を批判するエントリーもかなりあった。そもそも日本の右派は元々反共であり、「平等」という価値観を敵視する伝統があり、「差を認める」ことが右派の理念であるような雰囲気があったが、正直右派ブロガーの中に格差社会の犠牲者も少なくなく、理念を優先し自らの境遇を自己責任だと自己断罪できるような自虐的な人はいない訳で、必然的に格差容認論には否定的にならざるを得ない。
 小泉支持右派の「もじもじスケッチ」が、まだ格差容認派として頑張っているようなので紹介する。
http://mojimojisk.cocolog-nifty.com/miz/2007/02/post_49e4.html
 彼女は「格差」「少子化」はサヨクの詭弁だと言い切っている。ブログ界でもこの立場は本当に少数派になった。
今になってこの立場を取るのは危険である。右派こそこの問題に正面から取り組まないと、やはり左派が頑張ってくれないとダメだという世論が復活するであろう。現に構造改革が賛美された時代に、守旧派として国民的期待を全く失っていた連合がタウンミーティングを全国展開し、期待論も若干ではあるが回復させているようである。