自民党は批判が下手である。野党としてやっていけるのかな?
自民党はずっと与党にいたせいか、批判が下手である。特定の相手を批判する場合、砲台の位置を定めて一点から攻撃することが重用なのだが、この選挙戦での自民党の民主党批判は四方から適当に弾を投げていて、攻撃に威力がなかった。
例えば民主党と日教組との関係を喧伝し、まるで左翼政党であるかのようなビラを配る一方、演説では民主党は旧田中派古い自民党そのものだというアジテーションをしている。これでは間違って民主党の左翼性に不安を抱いてしまった人がいても昔の自民党と同じだと聞いて安心してしまう。
農業問題でもそうだ。地方選出の自民党議員は、民主党が政権を取るとFTAが推進されて日本の農業はダメになると言い、都市部選出の自民党議員は民主党の農業政策は農家を甘やかしてかえって競争力を失くすと言う。これでは自民党の農政の立ち居地がわからなくなってしまう。ネガティブキャンペーンというのは両サイドから勝手に攻撃すると、中和されて威力を失ってしまうのだ。
選挙は終わったが、下野した自民党は国会の場で民主党政権を追及する立場になる。その前に、まず立ち居地を定めなければならない。先ほどの農業問題で言えば国内農業保護重視か競争重視かの立ち位置を明確にした上で政府を批判しないと、野党としての存在感を発揮し得ない。これはすべての問題に直結していて、民主党政権の公共事業削減で不満が出そう地方に立脚して、地方への再配分を重視する政党を目指すのか、競争重視の自由主義政党を目指すのかは次の総裁選で明らかになるであろう。今回の選挙で勝ち残った顔ぶれを見る限り、自民党は前者の路線を選択するような気がする。