日勤教育に見る日本の病巣

 JR西日本脱線事故において俄かに流行語となっている「日勤教育」であるが、その実態はまだ流言によるもので全容は不明だが、単にJR西日本1企業の問題ではなく、現代日本の病巣が垣間見れる。
 日勤教育の内容であるが、流言によると無意味な精神論、懲罰的、見せしめとの印象を受ける。ただどの企業においても、不祥事が起きた際に、犯人探しに終始し、見せしめに懲罰して事を済ませていないか?
 高度経済成長は現場レベルの改善活動等、日本の製造業の現場は世界に類を見ない成果を上げ、高い品質を成し遂げてきた。まさに日本は「現場の国」なのである。それが最近は日本企業において「現場力」が落ちている気がしてならない。
 これまでの日本なら、こんな無意味な日勤教育はありえない訳で、事故の発生要因の徹底分析、再発防止策を徹底して追及してきたはずである。
 最近の日本企業は経営分野の改善にばかり注力し、現場レベルの改善活動には無関心になっているのではないか?経営の世界は数字を提示するだけで、それを実現する方法は現場まかせの世界である。しかも経営トップが細かい現場レベルの仕事に無関心であることが多い。
 高度経済成長期の日本企業の多くは町工場からの叩き上げで、経営者はまず現場レベルの改善を経験し、それを経営レベルに応用する形を取ってきた。現在の企業トップの多くは現場を知らない管理畑出身であったり、他企業からスライドしてきた経営者が多い。トップダウンの経営ノウハウは、現場レベルまでは応用が利かないもので、勢い表面的な経営に終始し、現場レベルの問題は現場任せになってしまう。叩き上げの社長が良いという訳ではないが、自企業の足元の問題まで関心を示すトップでなければ、JR西日本のような問題は今後とも起きうるであろう。