森岡正宏厚生労働政務官「A級戦犯は罪人ではない」発言

森岡正宏厚生労働政務官は26日の自民党代議士会で、小泉首相靖国神社参拝問題に
関連し、「中国に気遣いして、A級戦犯がいかにも悪い存在だという処理をされてい
る。A級戦犯BC級戦犯いずれも極東国際軍事裁判東京裁判)で決められた。平和、
人道に対する罪など、勝手に占領軍がこしらえた一方的な裁判だ。戦争は一つの政治
形態で、国際法のルールにのっとったものだ。国会では全会一致で、A級戦犯の遺族
に年金をもらっていただいている。国内では罪人ではない。靖国神社A級戦犯が祭
られているのが悪いように言うのは、後世に禍根を残す」などと発言、参拝取りやめ
を求める中国などを批判した。
 この発言について、細田官房長官は同日午後の記者会見で、「政府の一員として話 したということはあり得ない」と述べた。その上で「事実関係には種々誤りも含まれ、 論評する必要はない。(東京裁判の結果については)日本として受諾したという事実 がある」と指摘した。小泉首相は同日、首相官邸で記者団に対し、「今そんな発言取 り上げてもしようがない。私の(靖国)参拝とは関係ない」と述べた。
 森岡氏は取材に対し、「政府の取るべき立場を申し上げた。首相の靖国神社参拝を 後押しする発言が、政府見解と違うということはあり得ない」などと語った。 (5/26読売)

基本的に政治家個人の思想信条などいちいち文句付ける気はないし、政務官みたいに盲腸みたいな役職の人間の発言はどうでもいいのだが……
政治家や著名人が本音を言うと、一部のネットウヨは「よくぞ言った!」とか「神降臨」なぞと囃し立てるが、結局は諸外国の反発の火消しに追われ、結局政府の政策が修正するというのが歴史の必然である。
 この森岡氏が秘書をしていた奥野誠亮氏は現役国土庁長官の時、「日本には(侵略の)意図はなかった」「蘆溝橋事件は偶発的」と言った発言をして大臣辞任に追い込まれている。また保守派が目の仇にしている「日韓の歴史の共同研究」なんてのも、火消しのために始まったものである。
 政治家の保守的発言は一時的には右寄りの有権者へのリップサービスにはなるが、結果的には政治的反発を生み、政治は一時的に左転する。そして右寄りの有権者フラストレーションが更に高まり、「自民党なにやってるんだよ〜!感」が高まり、また右よりの政治家が右寄りの有権者へのリップサービスを繰り返すというアホなサイクルを繰り返しているのである。
 結局保守派の人々の政治的目的が達成しない上に諸外国の不満が高まる、言い換えれば外国に貸しを作るだけという、非常に馬鹿げた事実だけが残っているのである。日本が諸外国の反発に遭って無視できると言う確信があれば、確信犯的に妄言を吐くという選択肢もある*1が、現在の日本の状況は、諸外国の反発が即負の外交カードになり、外交交渉上不利に働くという現実を直視せねばならない。奥野大臣の辞任を間近で見ていた森岡氏は秘書として何を勉強して来たのであろうか?
 日本もだいぶ右傾化したから、多少本音を言っても大丈夫という確信でもあったのか?確かに発言そのものへの反発は日本国内では大したことなかったが、この時期にこの発言をすること自体呆れられているというのは事実は確り受け止めるべきだ。

*1:実施に諸外国の感情を無視して外交ができるのは超大国アメリカか、ならず者国家だけである。しかも実はアメリカも世界中の反米感情に苦慮している