植民地主義と時代感覚

 よく日本の植民地だけなぜ悪く言われるのかという議論も散見されるが、それは先程挙げた通り、植民地政治の内容に問題があったが理由の一つである。しかし酷い植民地経営は他国においても行われたのも事実であり、イギリスのインド植民地経営もその一つであった。結果的にイギリスは多大な国益の損失を以ってしてもインドの独立を認めざるを得なくなるのであるが、民族自決という時代感覚を見誤った結果であろう。
 日本も結果を見れば時代感覚を見誤ったとも言える。既に1930年代後半には植民地における民族意識は決定的なものになっており、特にインド、イスラム、中国などの文明国を支配することには無理があったのである。為政者はその辺の時代感覚を敏感に察知する必要があったが、ほとんどの為政者が受動的な対応に終始した。
 太平洋戦争の結果如何にかかわらず、が結果的に今とほぼ同じ領土に収束するのは時代の必然性なのである。