キャラ芸人の登場

芸でなく存在そのものを価値とし消費の対象になるタレントというのは昔から存在した。見世物小屋に出ていた人々がそうであったし、古典的なドタバタ喜劇には性格俳優みたいなものは不可欠であった。しかし喜劇が一定の役割を持ち続けた関西は別として、関東のお笑いシーンは80年代以降は漫才やコントといった定型詩的なお笑いが主流となり、キャラ芸人の活躍の場がなくなっていた。
 最初のルーツは欽ちゃんファミリーにおける見栄晴斉藤清六に求めることができる。欽ちゃんの手法の基本はコメディアンでない普通のタレントを料理するのことが基本であり、出演者のキャラクターには依存せず、日常的な普通さを楽しむ手法だ。見栄晴斉藤清六は一種のアクセントであって、メインディッシュではない。
 本格的なキャラ芸人の登場は「オレたちひょうきん族」以降であろう。この番組は関西の喜劇とは異なる偶然性の笑いによる喜劇性の再構築が試みられ、ここでキャラ芸人の活躍の場が生まれた。明石屋さんまの門下とも言えるジミー大西Mr.オクレがそうであろう。明石屋さんまはキャラ芸人をいじることにやって生まれる偶然的なわらいを消費するという手法を編み出したのでった。