いじめから自虐、相互虐

 いじめられキャラがいじめ役がいないと成立しないのに対し、自虐という手法が勃興した。もちろんネタ芸人による自虐ネタもそうだが、ここで言うのは存在自体の自虐である。デブ、ブス、ハゲ、負け犬、その他離婚等の私生活の不幸等、自らのネガティブな部分をネタにしてしまうのである。自虐キャラはいじられることもできるし、自虐により存在もアピールもできる非常に守備範囲の広い存在である。自虐キャラは松村邦洋にその片鱗を見ることができるが、これはまだ虐められキャラであろう。光浦靖子などは虐められる前に自虐ネタを披露し逆ギレするケースが多く、ブス系の自虐キャラと言えよう。また2002年頃から注目された磯野貴理子杉田かおる等の結婚できない女=負け犬キャラも注文に値する。彼女らは結局結婚したが、結婚しても私生活をネタにする姿勢は継続され、また梨花など新たな負け犬キャラに脚光を浴びる連鎖が続いている。
 また「格付けしあう女たち」のようにいじられるタレントといじるお笑いという構図でなく、対象同士がいじり合うという手法が生まれた。ここでは元々いじり役であった青木さやかも自虐キャラであった光浦靖子も負け犬キャラ梨花も離婚暦のある国生さゆりも面白さの上では変わらないのである。既に芸人か芸人でないかの区別が無意味となった。