みつはし

 本社の経営管理室よりT係長(当時)とK平君が来る。M山氏が来るときは携帯電話で連絡を取って勝手に飲みに行くのだが、この日は部長通達で役職以上の者は参加すべしという非常に堅苦しいフォーマルな飲み会が設定される。
 場所は札幌のフェニシアンホテル前にある「みつはし」というお店。俗にお母ちゃんの店と呼ばれるお店である。つまりプロの腕を見せるというより家庭的な味付けを売りにしている店なのである。この店はわが社の社長を始め歴代の役員が贔屓にし、私の上司の部長も大変贔屓にしているお店である。
 わが社の社長などは子供の時から美味しい料理に慣れ親しんだと思うのだが、このような庶民の家庭的の味に魅かれるのも不可思議である。
 後輩のY君が、「みつはしのどこが美味いのか?」と口をすべらしたら、大目玉を喰らった。わが社ではこの店を批判することはタブーなのである。