マニフェスト選挙の欠点

 マニフェスト選挙は非常に学者や評論家等のプロ受けがいい。しかしマニフェストの完成度だけを争うと、数値目標や期限の羅列になってしまい、有権者には冷たい声が届く。数字というのは不思議なもので、どんなに国民のためになる数字を出しても、数字自体がメッセージを冷たくしてしまう。プロや政治意識の高い人向けに欧米的なマニフェストを作るのはいいが、やはり暖かい言葉で包んだものが必要だ。
 民主党年金問題等に関してはプロ受けがいい。しかし必要な消費税率歳出削減目標数値を並べても、小泉総理のわかりやすい政治になびいた有権者の耳にはなかなか届かないであろう。特に年金問題は単独問題ではない。少子化問題、高齢化問題、医療問題などと密接に絡んでくる。岡田党首にはこの問題をうまくつなげるような言葉が足りないし、難しい数字の世界と生活レベルの実感の世界を結びつけるホットな言葉が足りない。
 特に少子化にどう歯止めをかけるかという問題は重要である。この問題は年金問題と違って数字で理詰めしにくい。この政策を実現すればこれだけ出生率が上がるというシナリオを書くのは困難だからだ。どうしてもマニフェストで書きやすい年金問題と書きにくい少子化問題は相性が悪く別問題にされがちである。どの政党にも言えることだが、この異質なものを結びつける工夫が欲しい。