2大政党時代は終わったのか?(続き)

無党派層の票、大量に自民へ…自公協力は一層進展
 出口調査では、特定の支持政党を持たない無党派層は、全体の19%を占めた。無党派
層が比例選で投票した政党は、自民党32%、民主党38%で、その差は6ポイントだった。
2003年の前回衆院選では自民党21%、民主党56%で、その差は2.5倍以上あった。今回
は、自民党が11ポイント上昇したのに対し、民主党は18ポイントも下落し、両党の差が
一気に縮まった。これが、今回の自民党圧勝の大きな要因となったと見られる。
 自民、民主両党以外では、共産党8%、社民党7%、公明党7%、新党日本4%、国民新
党2%――の順だった。過去3回の国政選挙を見ると、小泉政権発足間もない01年参院選
は、小泉ブームに乗った自民党無党派層の27%の支持を集め、民主党の21%を上回っ
た。だが、その後、自民党に投票した無党派層の割合は、03年衆院選が21%、04年参院選
が14%と低下した。
 これに対し、民主党に投票した割合は03年衆院選で56%に跳ね上がった。この選挙で
民主党は177議席を獲得し、躍進した。04年参院選でも無党派層の51%の支持を集めて
50議席を獲得し、改選分の獲得議席では自民党を上回った。
 一方、無党派層小選挙区で投票した候補の所属政党は、民主党45%、自民党38%だ
った。前回衆院選出口調査に比べ、民主党が6ポイント低下したのに対し、自民党は
10%。今回、小泉首相郵政民営化を最大の争点に据え、その是非を問う姿勢を貫いた。
民主党岡田代表らは、郵政改革をあまり前面に出さず、年金や少子化問題などを訴え
た。だが、読売新聞社が6〜8日に行った継続世論調査では、無党派層の43%が郵政民営
化に「賛成」と回答、「反対」の26%を上回っていた。郵政民営化への賛成が、無党派
層の自民党支持が高まった一因と見られる。
 ◇自公協力◇
 出口調査では、公明党候補がおらず、自民党候補のいる290小選挙区では、公明支持
層の78%が自民党候補に投票したことが分かった。03年の前回衆院選での同様の調査に
比べ、6ポイント上昇しており、小選挙区で公明支持層が自民党候補を支える構図が一
段と進んでいることが明確になった。
 今回と調査地点数などが異なるが、公明党が与党に加わった99年以降に行われた衆院
選の出口調査では、公明党候補のいない小選挙区自民党候補に投票した公明支持層の
割合は、00年が61%、03年が72%と上昇してきた。
 一方、今回、自民党候補がおらず、公明党候補のいる9小選挙区で、公明党候補に投
票した自民支持層の割合は68%だった。
 同様の小選挙区で、自民支持層が公明党候補に投票した割合は、00年が38%で、03年
が56%だった。今回は、前回より12ポイントも上昇しており、自民支持層の公明党候補
への支持も徐々に拡大している。(2005年9月12日  読売新聞)

今回の選挙結果を無党派層自民党に流れたと単純化する向きもあるが、そうではない。上の読売新聞の記事はいいヒントを出している。

 という事実がわかる。それだけならまた無党派層の票が7割以上民主党に流れたら逆の選挙結果もある得るのかという話になるのだが、無党派層の票ばかりに着目するのは片手落ちである。この記事は公明票にも言及している数少ないソースである。今回公明支持者の自民党への投票率が6ポイントも上がっているのである。実は今回民主党無党派層の7割の支持を集めても勝てない候補が多かったのではという仮定も成り立つ。
 無党派層の8割以上の支持を得ないと勝てないというのは極めて絶望的な数字である。都市部において自公協力の浸透の結果、民主党候補がどうやっても勝てない選挙区が増えてきているのではという推測も成り立つ。
 政治評論家の福岡政行民主党議員などは、今回の逆の結果もあり得ると、次回の選挙での政権交代の可能性に言及しているが、これはかなり甘い認識である。自公協力の浸透により都市部で自公候補者の固定化が進み、政権交代のチャンスの減退が進んでいる可能性がある。日本に放蕩に政権交代可能な2大政党制が根付く可能性があるのか冷静に見る必要がある。