心配な政治的無関心とマスコミの役割

 野党の弱体化と自民党純化の進行で心配なのは、政治的無関心の復活である。郵政民営化法案はこれですぐ片付いてしまう。これから先の年金問題財政再建北朝鮮問題、イラク派兵問題、米軍基地再編問題など、どのような政策判断がなされるのであろうか。自民党内では首相官邸の力が強大化し、党内議論があまり起きない。公明党も影響力が低下し、野党は反対しても無力で、国会内で議論しても可決されるに決まっているので話題にならない。参議院は無力化する。という状況が起き、政治的問題が議論さえされず可決されていく危険性がある。
 もし民意に反する政策が出されたらどうするのか?何か55年体制に逆戻りする可能性すらある。弱体した野党に代わり、マスコミが世論を喚起するマスコミ野党論が復活したり、補欠選挙や地方選挙で自民党にお灸を据える昔の作戦しか思い浮かばない。
 もちろん自民党が民意を吸収し続ければ問題ないのであるが、多様化した民意を包括するというのは極めて困難な作業で、ある民意を汲み取ると不利益を被る人も出てくるのが常である。時に今回は都市部の有権者自民党への期待が大きかった訳であるが、都市型政党に脱皮するというのはこれまた非常にハードルが高い。今回の選挙で自民圧勝のドサクサに塗れて、利益誘導型の議員もかなり当選しているし、ポスト小泉の段階で党内でゆれ戻しが起こる可能性もある。道路公団改革のように利益誘導も可能な玉虫色の妥協案が出来て、それをさも改革であるかのような提示をされ、議論もないまま採決されてしまう可能性もある。
 政治的無力感を蔓延させず、世論が与党内の政策決定プロセスに食い込めるような状況を作り出すのは非常に難しいが、与党はYesマンばかりで野党が無力化した状況では、私の嫌いなマスコミに奮起してもらうしかないのである。