中国新幹線受注について−非常に不愉快な宮崎正弘氏のコラム

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成17年(2005年)11月14日(月曜日)
      通巻 第1296号 
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中国新幹線、ドイツ受注確定的に乾杯
 日本はこれで目先の不良債権膨大化への不安が消えた
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 ヨーロッパ歴訪中の胡錦濤は、ドイツで新幹線車両の大量発注を行った。まずは下記の人民日報報道。

 「 胡錦濤国家主席のドイツ訪問中、独シーメンス社と中国鉄道部は、北京-天津間の高速鉄道整備事業の車両提供をめぐる契約をベルリンで締結した。これにより、ドイツは中国の高速鉄道プロジェクトの受注争奪戦で、他国を一歩リードした形となる。
  契約により、シーメンスTSグループとパートナー・中国北車集団唐山機車車両廠が、共同で高速列車60本を製造する。うち、シーメンスの受注額は6億6900万ユーロ(約926億円)。列車はまず2008年に北京-天津線に投入され、その後上海-南京線、武漢-広州線などの高速線にも使用される予定。長さは200メートル、座席数は600余り」。(「人民網日本語版」2005年11月13日)

 中国へ日本の新幹線をもっていこうと煽ったのは親中派の政治家や商社、くわえて車両メーカーだったが、日本の世論が硬化してきた。

反日運動ばかりが原因ではなく、(1)新幹線の代金を支払ってくれる可能性がうすいこと(2)工事が大幅に遅れるが、日本の所為にされかねないこと(3)クレーム、難癖が必ず付帯し、日本が大幅な赤字を覚悟しなければいけないこと(4)新幹線の技術がぬすまれること。
等で反対論が確実に拡がっていた。

 まして新幹線技術を集約するのほJR東海であり、葛西社長は「システムごと、すべて日本でなければ協力しない」と言明してきた。
 そのJR東海の姿勢を無視して商社、メーカー、親中派政治屋(という名のブローカー)が暗躍してきたが、どうやら徒労で終わりそう。

 ドイツ受注。まことにおめでとう御座いました。
 日本の新幹線、中国からの受注敗退確定に乾杯!

 中国でのプロジェクトは新幹線だけではない!
 中国で世界の名だたる企業とビジネスの最前線で戦っている日本のビジネスマンに対して極めて失礼な暴論だ!
 中国は儲からないというレトリックは「SAPIO」なので散見される反中派経済人の常套句であるが、儲かるか儲からないかは日本企業のビジネス次第である。ドイツやフランスが新幹線の売り込みに躍起なのも、中国での新幹線建設や鉄道車両の将来的需要が極めて大きく、見逃せないマーケットだからである。当然中国への一部技術移転も進むであろうが、システムや精密部品など中国での自国開発が難しいそうな部分をしっかり抑えておけば、将来に亘って利益の出るスキームを構築できるのである。日本企業はその辺で長けていて、航空機や携帯電話のように、日本企業のシェアが極端に低い商品であっても、中身の精密部品の多くは日本企業でしか製造できないものも多く、しっかり稼いでいるのである。
 根拠のないネタを並べて中国で商売するのは止めましょうとゆわんばかりの言動は、もはや経済人のコメントでなく、経済より民族やらプライドやら内面的な価値を重視しましょうというロマン主義の領域であり、そういう人間には経済評論家うんぬんの肩書は捨てて、名刺にはっきりと「右翼」と書いて活動していただきたい。
 机上で自己満足的なコラムを書いている人間と、異国でビジネスの最前線で戦っている人間と、どちらがたくましいか?そちらが日本の役に立っているのか?
 よく考えてもらいたい!
 久々に不愉快なコラムを読んだ。