戦後教育はそこそこ主義であった。

 戦後の教育はそこそこ教育だった。まじめに勉強して、そこそこの大学に行くか、そこそこの企業に就職すれば子供はそこそこ幸せだから、悪い子にならないように教育はするが、それ以上の勝てる教育はしてこなかった。
 こういう話をすると、それは日教組が云々必ず文句を言う人がいるが、教育問題をすべてを日教組のせいにして思考停止してしまう人こそ教育議論を不毛にする諸悪の根源である。「おててつないで仲良くゴール」の話を持ち出して戦後教育を批判する人も、結局は受験エリート教育から脱しない、古典的エリート思想である。実は90年代の革命による実力社会の到来は学歴社会も同時に崩壊しているのである。いい大学に入れれば目的を達してしまう教育界の思想はそこそこ主義の延長でしかないのである。今、結構いい大学を出ている人でも企業内で出世できず、一生年収500万円以下コースに嵌ってしまっている人が多いのである。結局教育現場でテストで点を取る力はつけても、競争社会で勝ち抜くスキルは学んで来なかったのである。
 戦後教育を批判するのであれば、要領良く子供に点を取る方法を教えるだけでなく、競争に勝ち抜くことも教える覚悟があるのかということである。最近放映された「女王の教室」というドラマは見事に現在の不毛な議論に一石を投じるものであった。