年収300万円時代の就職指導
格差社会においては「職業に貴賎なし」「収入よりやりがい」といった近年の理想とされた労働観が既にきれい事になってしまっている。教師たちはきれい事を言って生徒たちを産業界に都合のいい低賃金労働者*1として送り出してしている*2のである。
生徒たちはきれい事を並べた学校での職業観と、学歴がなくても、社内での地位が低くてもそこそこの賃金が支給され、そこそこの生活を送っている親世代を見ているから、就職後の現実は晴天の霹靂なのである。
マニュアル通りに単にミスをしないことだけを求めそれ以上の期待をされない現実。何年たっても僅かな昇給しかない先輩たち。日本式経営を捨てた日本企業は、戦後の高度経済成長を支えてきた「現場のモチベーションを高めるシステムを崩壊させてしまった*3。
高卒社員の離職率が50%を超えるのも無理はない。ただ離職して、より賃金の低いフリーター生活が待っているだけである。教育現場はきれい事を並べるのを止め、生徒たちにどうしたら銭の稼げる仕事に就けるのか、そしてこの厳しい社会をどうしたら生き抜いていけるのか「勝つスキル」を教える必要があるのではないか。
今年放送された「女王の教室」というテレビドラマは、まさにそういった警鐘であったと思う。
PS.個人的に今は、現実的には個人が格差社会に立ち向かわなければならないが、少子化問題や治安問題を考えると、格差社会を放置することは危険であると考えている。