札幌駅まで市電を延伸 札幌市、近く検討会に具体案

 札幌市は近く、市内中心部を走る路面電車(市電)をJR札幌駅前まで延伸する具体案を、学識経験者や同市幹部らでつくる「さっぽろを元気にする路面電車検討会議」に提案する。検討会議はこれをたたき台に論議を重ねた上で、8月に結論を出し、結論を受けた同市が最終的に決断する。札幌駅延伸は市電再生の鍵となっていた。
 市電は現在、「西4丁目」から市街地をコの字形に回り「すすきの」と結ぶ8.5㎞。赤字と老朽化から廃止論議があったが、上田文雄市長は昨年2月に存続を決定。現在、検討会議でそのあり方を検討しているが、札幌駅延伸なしに存続は成り立たないと判断した。
 同市などによると、路線延伸の主な案としては、関係市民団体が提示している《1》西2・3丁目案(約2.2キロ延伸)《2》西3・4丁目案(約2キロ延伸)《3》駅前通往復案(往復計1.8キロ延伸)が浮上している。
 《1》は現在の「西4丁目」(南1西4)停留所から東側に延伸。西3丁目を北進して駅前で西2丁目に迂回(うかい)して南進、再び「西4丁目」に合流する。《2》は駅前に北進するルートは《1》と同じだが、西四丁目側に迂回し駅前通を南進する。《3》は「西4丁目」から駅前通を札幌駅前まで直線で延ばし、これを往復する。線路敷設によって道路幅が狭まる上、沿線の商店街との合意も必要なため、市は慎重に提案内容を固める。

 市電は利用客の減少が続き、1980年代に一日平均約3万3千人だったのが、2004年度は約20人にまで減少。02年度に赤字に転落し、04年度決算では約3億円の営業赤字となった。
 検討会議は昨年8月に発足し、将来の市電のあり方を論議している。市が今回示す複数案をたたき台に議論し、今年八月には、運営への民間活力導入なども含めた「路面電車の活用方針」をまとめ、市に提示する。
(1/4北海道新聞)http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060104&j=0030&k=200601044740

 札幌市電の黒字化が入口論になってしまっているようだが、入口論は街づくりであるべき。街づくりのために有益であれば、別に公共交通機関のある程度の赤字は許容するという意識が必要だ。もちろん黒字であることに越したことないが。
 札幌延伸を考えるならば、市電を札幌駅地区−大通−すすきの平面移動エレベーターのような位置づけで考えるばきでないか。これらのエリアは歩いて移動するには億劫(特に冬季は)だし、わざわざ地下鉄やタクシーに乗る距離でもなく、中途半端で、私も札幌駅に用事がある時は、その周辺ですべて用事を済まし、南1条あたりで用事のある時はその周辺ですべて用事を済ましてしまう。それぞれのエリアが個性を発揮しながら回遊性が活性されれば、街づくりに有益なのである。
 その為には札幌駅−すすきの間の運賃の低廉化とフリークエンシーの確保が必須である。また回遊性の確保のために開始された札幌駅−すすきの間のワンコインバスの認知度が低く失敗しているのもよく反省材料にする必要があるであろう。