安倍氏、教育基本法改正に意欲…損得超す価値教えたい

 安倍官房長官は12日、石川県能美市などで街頭演説し、教育基本法改正について「この国会に(改正案を)提出し、成立させたい」と強い意欲を示した。
 安倍長官は、改正の意義について「損得を超える価値、つまり家族を大切にする、地域のために頑張る、国に貢献することの尊さを教えるための教育改革を行いたい」と強調した。
 現在の教育の問題点としては、「子供が親を殺したり、親が平気で子供を捨てたり、金もうけがすべてという風潮がある。戦後60年間、損得ばかりを価値の基準に置いてきた結果だ」と指摘した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060312i212.htm

安倍ちゃんの話は単純化されているが故に受け入れられやすい。小泉の子ども騙しのロジックを継承しているきらいがあるので好きではないのだが、この言葉を噛み砕いてゆくと論点が浮かび上がってくるので、問題提起としては悪くない。

損得という価値観が悪か?

 この辺は小泉ー竹中ラインとは異質な部分である。小泉ー竹中ラインのような資本主義メカニズムへのコミットはこの人には乏しいようである。
 根本的に親殺しや子ども殺しは損得勘定と関係ないと思われる。ライブドア事件等企業の不祥事の問題に関して言うのであればわかるが。現代的な問題を十把一絡げにして問題を単純化してしまうロジックがあっさりと一井には受け入れられてしまう最近の知的貧困さは困ったものではあるが。
 話は戻るが、損得勘定を敵視して国のリーダーと成り得るのか?最近の企業は短期的な損得勘定に走り失敗し、結果的に大損している訳である。企業が長期的な損得勘定に立てば社会との調和は取れるはずである。むしろ批判されるのは株主利益至上等の90年代以降に流入してきた経営思想であって、その思想にお墨付きを与えてきた自民党の先輩議員たちではないのか?
 日本のリーダーには、損得勘定が社会と調和できる環境を提示できる人間がなるべきである。

地域のために頑張る、国に貢献することの尊さを教える前にやることがあるだろ!

 どうも最近は教育原理主義的な意見に傾斜する人が目立つ。
 教育を変えれば、現代的諸問題がすべて解決するような安易なロジックに傾斜することによって安易に思考停止ができるのである。教育は万能薬ではない!
 「地域のために頑張りたい、国に貢献したい」という高い志を持った先輩方は多い。そういう強い意識から公務員になった先輩方も多い。もちろん頑張っている人も多いのであるが、ニュースで聞こえてくるのは公務員の不祥事ばかり。一部の公務員の不祥事で全ての公務員が悪であるかのような公務員バッシングには同調したくはないが、公務員はごく一部たりとも汚職は許されない存在である。これだけ多発する現状は異常としかいいようがない。
 聞こえてくるのは「子どもたちを厳しく教育すべき」という意見ばかり。まず襟を正すのは大人ではないのか?大人と言うのは自分たちが子どもの時のことを簡単に忘れる。私も子どもの頃は大人たちは自分たちの酷さを棚に上げて、よく子どもだけに厳しいモラルを強要するものだとしばしば矛盾を感じたものだ。酷い大人たちが子どもたちに教育を施したところで何が生まれるのか?大いに疑問である。