国民の犯罪者隔離願望は平和の証

 日本人が刑における隔離効果への期待が大きく、教育的効果への期待が乏しいというのも前回述べた。これに関しては文明論的にも解することができるし、イデオロギー論的にも解することができる。ただ根本的には犯罪発生率の少なさ故の平和な意見とも言える。
 治安の悪い国家で犯罪者の隔離を強調したら、それこそ社会的コストは膨大で、国家は疲弊してしまう、否応なしに犯罪者を再教育して社会に復帰させる「教育刑重視」の政策を採らざるを得なくなる。
 日本は犯罪者が少ないが故に隔離を強調できるのである。触法者を長期拘束しても国民さえ理解すれば国庫負担は可能な範囲であるし、彼ら抜きでは十分に社会は回るからである。
 ただ教育刑重視の実態行刑市民意識のずれは出所者を受け入れない社会という形となり、様々なしわ寄せが生じている。出所しても就職できない者はまた犯罪に手を染める。結果的に社会的コストを高めているにである。この矛盾はいつまでも放置していいものではない。