小沢一郎は今さらジローか

 民主党代表に小沢一郎が選ばれた。彼は好きな政治家ではないが凄い政治家だと思っている。菅直人の方が感じはいいが、手の内が読めて面白みはないと思っていたので、まあいいのではないか?
 小沢一郎は最近鳴りを潜めていたので、現在の日本をどうしようとしているのかはまだ読みきれないが、この人は数少ない理念を創れる政治家ではあると思う。かつての自民党や連立政権で、常に親小沢か反小沢かで反立する歴史を見てきたので、この人がどういう対立軸を打ち出してくれるか見ものである。もちろん、彼が打ち出した理念で民主党が瓦解する可能性もあるのだが。
政治評論家やマスコミ或いは民主党内からよく「対案路線」という言葉が聞こえていたが、私は対案路線というのは日本の政治土壌では存在し難い*1と思っている。官僚組織をブレイン化できる与党が圧倒的に能力的に優位*2で、個別政治テーマ毎に与野党が政策を競い合うというのでは野党はいつまでたっても浮かばれないであろう。むしろ必要なのは新しい価値観を提示できる政治である。野党が新しい価値観を提示できれば、それは具体的な法案などよりよほど強いインパクトを持ち与党と互角に戦うことも可能である。個人的には、2大政党を機能させる意味で誰か新しいリベラリズムを提示できる政治家の出現を期待してはいるが、管直人はそこまでの政治家ではない。保守主義のDNAを受け継いではいるが小沢一郎の方がその可能性はあるという見方はできる。

*1:本来的には行政府が立法実務のほとんどを担っている時点で間違っているのではあるが……

*2:自民党も議員と党職員だけで対案を作れと言ったら能力的に限界がある。