イギリスの統一地方選に思う。

 外国の地方選挙なので、それ程報道量も多くはないのだが、ブレア首相率いる労働党が敗北を喫したようだ。
 ヨーロッパの政治のここ20年間の流れは、主要政党の中道化と、極右政党の台頭という傾向で、その流れの延長ではある。イギリスは極右政党の台頭が最も遅かったが、今回極右政党の国民党がロンドンの区議会議員選挙で躍進したようだ。
 移民排斥を支持する低所得白人層が反エリート主義を唱える極右政党を支持する傾向は、他の欧州各国と類似する傾向である。
 イギリスの場合は保守党が労働党中道化して空白となったリベラルな領域にウィングを拡大したのも、極右政党の躍進余地を生んだ。今回は労働党が治安を前面に出したのに対し、保守党が環境問題を訴える等、従来の左右構造が逆転しているのも面白い。かつてのアメリカの民主党共和党の位置逆転現象が起きるのではという見方もあるが、そもそも自国の環境を守るということは自国の文化を守るということと陸続きの問題にあり、保守政党は本来なら環境保全に関して最も熱心にならなければいけないはずだ。
 西側諸国で環境問題を左翼マターにしてしまったのは、西側諸国の保守政党共通の怠慢であり、英国保守党がやっとこのことに気付いたと考える。世界各国の保守政党は早く目覚めるべきであろう。