つくる会新会長に小林氏。

元々草の根保守主義みたいなものには虫唾が走るので、どうでもいいのですが…。
 私も現実的でクールな保守主義には一目を置いているのですが、90年代以降の草の根化した保守主義というのは、一見勢いがあったように見えますが、かつての左翼の末路と似た方向に進んでいます。
 最初は左翼の脅威の前に、小異を捨てて大同につこうという姿勢で始まった草の根保守主義ですが、大衆運動の宿命か、「極端な主張をする人ほど熱心に活動する」という左翼と同じパラドックスに陥り、左翼の弱体化をいいことに、一般層への支持拡大という草の根運動の本質を忘れ、先鋭化してしまうのです。
 私が個人的に嫌いなのはセンシティブ保守主義です。私も何らかの縁で左翼系の音楽イベントに動員されたことがあります。そこで有無を言わさず、「かわいそうな被害者」の歌を歌わされ、大衆の涙を誘うような表現が強要されて、虫唾が走ったことがあります。
 最近の保守主義も左翼から転向した人が持ち込んだのか、お涙頂戴保守主義が闊歩しております。犯罪被害者の生の声を強調し利用し、刑罰の厳格化を主張したり、子供たちを守りましょうというお題目で監視社会を煽ったり、拉致被害者家族も支援というより政治利用の臭いがします。
 今度「つくる会」の会長になった小林正氏も転向右翼ですな。この人は日教組出身の元社会党参議院ですぞ。しかも私の大学の先輩。こういう転向組はアンチテーゼに捕らわれて、なかなか建設的な価値観を構築できない可能性が高い。瓦解しかけた組織の建て直しの望み薄でしょう。
 「つくる会」のスポンサーである産経新聞との価値観の違いも目立ちますな。産経新聞というのは潰れかけた新聞社を左傾化が目立つ言論界を憂慮した財界が体制よりの報道機関を作ろうと支援した会社なので、本質的にはイデオロギーありきでなく体制翼賛ありきの会社なんですね。イデオロギーありきで、場合によっては政権批判もあり得る草の根保守主義とは温度差があります。
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