ますは被害者保障の充実を

 私は責任を連座的に拡大するような考え方はいかがなものか。立憲の理念に反す思想であります。また厳罰化で物事が解決するという考えには限度があると思います。
 私の関心はどちらかと言うと犯罪被害者への保障にあります。今回の事件は亡くなったのが子供で親が生き残り、経済的な保障を論じる事件ではありませんが、事故で一家の大黒柱が亡くなったり、或いは事故で高度障害を負い、高額な医療費を要す場合があります。自動車事故の場合は付保率が高いので、保険で賠償できるケースが多いのですが、一般犯罪での傷害致死や殺人などの被害はそうは行きません。加害者が収監されたり、事件により雇用先から解雇されてしまえば、加害者の保障能力はなくなります。
 加害者の業務中であれば、雇用先の使用者責任を問えるのでまだいいですが、そうでもなければもう泣き寝入りするしかないでしょう。運良く加害者の親が良心的で、代位保障してくれればまだいいです。加害者の妻*1なんて、一転犯罪者の妻になったことで自分も悲劇に被害者との意識を持つ人がほとんどで、離縁してしてしまうことも多いですから、一番宛てになりません。
 やっと国が保障制度を充実すべきとの議論が出てきました。財政の問題を心配する人もいますが、犯罪に巻き込まれて死亡する人の数は交通事故死者の1/4程度しかおりません。財政を心配する程日本の治安は悪くなっていません。
 あと気になるのが、犯罪者の雇用者は、その人を懲戒免職して退職給与引当金が丸々雑収となってしまいこと。従業員の業務外の行為まで企業に責任を負わせるのはどうかと思うが、こんなことで雇用主が潤うのは何か解せない。責任がないのに保障しろというのは法的には難しいのではあるが、何とかこの退職金が犯罪被害者が担保できるような解釈はできないのでしょうか?
 話を元に戻しますと、今回の事故の加害者は福岡市職員。実際には自動車保険で賠償が可能と思われますが、もし任意保険に加入していなかったとして、福岡市が賠償できようか。加害者が大手企業の社員であれば、大手企業は企業イメージ防衛のために例え法的な使用者責任がなくても代位保障する可能性はある。しかしこれが行政になると、行政責任が拡大解釈されることに実にナイーブであり、法的に責任がないものは保障できないという役人的な対応をするであろう。それに出所は市民の血税でしょう。
 そうなると、赤提灯レベルでは市長がポケットマネーで保障しろとか、市職員の給与をカットして保障しろと言う意見が出てくる。これもちょっと「超市民的」過ぎて??であります。
 

*1:犯罪者は男性の確立が高いのであえて妻にした。