北朝鮮制裁 国連安保理決議は可決したが

 国連安全保障理事会で対北朝鮮北朝鮮制裁決議案が可決された。とりあえず中国・ロシア・韓国も含めて北朝鮮の暴挙を看過できないという状況となり、当然の結果と言えよう。
 ただ北朝鮮問題に対する出口戦略がないということも改めて露呈した結果となった。「北朝鮮を追い詰めた」とは決して言えないと思う。
 一般に独裁国家の軍事的脅威を解決する方法は

  1. 独裁者を懐柔する。
  2. 独裁国家内での革命やクーデターを誘発し、独裁政権を崩壊させる。
  3. 独裁政権を武力で制圧する。

 の3種類がある。経済制裁というのは1や2のケースを期待して行われるもので、武力制圧は最終手段として滅多に使うものではないといというのは常識なのだが、どうも北朝鮮に関しては1や2のケースはありえないということは大方の味方であろう。
 しかし武力制圧というのは非常にコストがかかる。攻撃するための軍事コスト以上に、平定後の民政費、難民対策コストが非常に重くのしかかる。このコストは主にアメリカ、中国、韓国に重くのしかかるものであるから、躊躇しているのである。
 日本の世論は「あんな国、早く攻撃して潰してしまえばいいのに」という類のものであろうし、特に軍事に無知な3流キャスターや自称文化人たちは、そんな類の発言をするのではあるが、ある意味お気楽過ぎる。日本が本気に強攻策を取りたいのであれば、アメリカ、中国、韓国に、日本が相当の経済的負担をする旨を約束しなければ、「国境を接したい国はお気楽だね」と思われて終わりであろう。
 もちろん、アメリカがどこまで最終手段の想定を行っているか依然未知数で、中東情勢を考ええれば、極東まで軍を出ないという事情を、北朝鮮もうまく利用している。日本は独自の軍事行動を取る能力もないのにが少しはしゃぎ過ぎているきらいがある。
 北朝鮮船籍の臨検アメリカ軍が後方支援を自衛隊が行う際、「アメリカ軍が攻撃されても、自衛隊は黙って見ているだけなのいか?」議論もトリビア過ぎる。自民党国防族が昔から議論をしてきた仮定が、いよいよ現時に議論できるようになったとばかりはしゃぎではないか?北朝鮮に対してどういう圧力が有効か?という議論が欠落し、自衛隊を縛る法律をどう改正してゆくかという国防族の念願ありきの話になってしまっている。
 そもそも臨検というのは「核不拡散」の為の手段であり、北朝鮮問題の根本的問題を解決する手段でも何でもない。

核武装「大いに議論を」=船舶検査法、見直し必要−中川自民政調会長

 核武装議論ですか?これもはしゃぎ過ぎの典型。
 北朝鮮なんて国民が何人死のうと平気な国。何十万の国民が餓死したり、虐殺死しているのである。そんな国に核兵器など脅威でも何でもない。そもそも核兵器などの大量無差別攻撃兵器は、相手国の国民から戦意を奪い、厭戦気分を最大にさせ降伏を促すことを目的に使用されるものである。北朝鮮のように国民がいくら死んでも徹底的に洗脳されクーデターも起きなければ、為政者が国民の死を嘆くこともない国には効き目がない。核兵器なんて対北朝鮮には最も不向きな兵器*1で、ある程度民度の高い先進国に対抗するための兵器なのである。
 日本が核兵器を持つことは、イコール西欧先進国への挑戦というメッセージである。ならず者国家やテロの危機に対して持つ兵器ではないからである。

*1:逆に北朝鮮アメリカ、日本、韓国等に対峙するには極めて有効的な兵器とも言える。