報道の自由とナショナリズム

報道の自由:日本に厳しい評価 国境なき記者団がランク

 【パリ福井聡】国境なき記者団(本部・パリ)は24日、世界168カ国の「06年報道の自由度ランキング」を発表した。
 それによると、最高位はフィンランドアイルランドアイスランド▽オランダの4カ国。最低は北朝鮮トルクメニスタンエリトリアの3カ国だった。日本は「ナショナリズムの隆盛が目立つ」との理由で前年より14位下がって51位と厳しい評価となった。
 米国は「テロとの戦いを巡りブッシュ政権と司法、メディアの関係が悪化した」として53位に、前年首位だったデンマークムハンマドの風刺画掲載への脅迫などで19位に、フランスも治安を巡る政府とメディアの対立から35位に、それぞれ後退した。

 10月24日 毎日新聞

 日本はナショナリズムの隆盛によりランクが低下したようだが、報道の自由ナショナリズムは別次元の問題のような気がする。「他民族排斥や軍備拡張的な報道が国の報道規制への関与と関係なく自由に行われる」といった、グラスツールナショナリズムの隆興が先進国で顕著な現代社会において、「報道の自由」という切り口が有効か甚だ疑問である。このランキングは報道の自由度を図るものと言うより、アンチ全体主義とアンチ民族主義を複合させたマトリックスと考えた方がいいのでは?
 ただこのランクが高い国が、なんとなく好感を持てる国で、低い国が好感を持てない国であるのも事実であり、世論に全体主義及び民族主義に対する嫌悪感を煽る意味でこういうランキングが依然として有効的であるのも事実である。