いじめの質的変化

 いじめというのは太古の昔から存在する。動物にだっていじめが存在するのだから、人間がまだホモ・サピエンスに進化する前からいじめは存在したのであろう。多くの人が理想化してやまない「昔の日本」にもいじめは存在していたのに、なぜ最近になって大きく騒がれるようになったのか。
 確かに教師がいじめに加担するという話は最近になってよく聞くし、鹿川君事件以前はあまり聞いたことがない。これについてはいじめの質的変化が指摘される。昔はいじめる側がいわゆるクラスの「ワル」で、むしろバランスの悪い優等生的な生徒*1がいじめられる傾向があった。
 最近はどちらかと言うと優等生的な生徒がクラスの問題児をいじめるという形のいじめが増えているという。先生にとっても問題児に苦虫を噛み潰す思いを日々している訳さから、結果的にクラスの中のいじめの形に迎合してしまうことがある。また先生の口から出た問題児に対するホンネが、いじめの構造にお墨付きを与えている結果にもなっている。
 また「いじめ問題」が政治的に利用されているという点も見逃せない。太古から存在する「いじめ」の問題は、今までは子供の世界では一定数の確率で発生する仕方ない現象として認識され、本質的に根絶しよう等とは誰も思わず、解決策の研究もさして行われてこなかったのである。直近大きく取り上げられれているのは明らかに教員の免許更新性への世論の支持を喚起させるための政治的思惑である。
 ただ現状言われている解決策は「問題教師をクビにしろ!」というだけである。世の中の頭の悪い人たちは、問題を単純化したがり、何か一つの現象が問題のすべての根源であるかの「担因論」に安易に飛びつく。ただ冷静に考えれば、問題教師をクビにしたところで「いじめ問題」は解決するのか?いじめに加担する教員は論外なので、クビにして結構であはるが、代わりに来た教師がいじめを解決できるのか?そもそもいじめ問題の解決を教師個人のスキルやノウハウに依存するのもいかがなものか?いじめの類型は発生のメカニズム等の研究すらロクに行われていないのである。

「最近のいじめ事情 優等生がターゲット」(11/6日刊現代)と逆の情報がある。

 中途半端な優等生がいじめられる というのは少なくとも20年前にはあった現象だと思うが?
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2674904/detail?rd

*1:成績はいいが友達が少ないとか、運動が苦手とか…