周回遅れのネオリベラリズム

 現在日本では「ホワイトカラー・エグゼンプション」など企業優位の労働法規改正や、企業や高額所得者に優位で低所得者に厳しい税制改正社会保障の見直しと、すざまじいネオリベの嵐が吹いいる。なぜこんなことになっているか摩訶不思議である。
 ネオリベ全盛期の80年代の中曽根政権下では、ここまでの動きが出なかった。この時は事情があった。当時アメリカは対日貿易赤字に苦しみ、日本の内需拡大を求めていたのである。また労働意欲の高い日本企業をより脅威に感じていた時代である。日本の労働者の賃金を下げることは、内需拡大・企業競争力両面でアメリカの利益に反しており、そのような政策を望んでいなかったのである。アメリカはネオリベ規制緩和の部分だけを日本に求めてた。
 ネオリベ労働配分率を低位安定させ、景気変動に左右されない企業経営環境を作ると言うニューエコノミー的な環境整備は日本では余り進まなかった。経済がグローバル化し、日本企業が競争相手というより投資先として見做されるようになると、アメリカでも日本企業の労働コストを高めて競争力を削ぐよりも、収益性を求める投資家的立場の意見の方が強まっており、かつてのような圧力は生じない構造になっている。しかも自民党が圧倒的多数議席を持っている今こそ財界にはチャンスと写るのであろう。