単純系の終焉

 あるある大辞典の打ち切りがほぼ決定的となった。大変喜ばしいことである。この番組に限らずココアに始まり、にがり、寒天、ブルーベリー、赤ワインと、「○○さえ食べれば的な健康になる、痩せる。」的なテレビ報道に激しい違和感を持っていた。捏造はもっての他だが、それ以前も問題として単一食品で体質改善できるという伝え方が間違っている。本当に食事療法で健康になりたいのであれば、様々な食品をバランスよく摂取するのが当然で、それこそマクロビオティックのような体系的な食事療法を取り入れるべきだろう。
 政治でも「○○さえすれば日本が良くなる」という政治手法に対してようやく反省が始まったところだ。かつての「小選挙区制度を導入すれば日本がよくなる」から最近の「郵政民営化すれば日本がよくなる」まで、そのおかしさがようやく認知されるようになった。政治も単一の政治課題の解決で全体がよくなることはあり得ない。むしろマニフェストのような総合的な政策で判断すべきである。
 宮崎県知事にそのまんま東氏が当選したが、タレント候補の当選と言うと単純系の範疇かと思われるが、彼はきちんとマニフェストを出して政策で勝負をかけたようだ*1
 ようやく世の中に蔓延していた「単純系」が駆逐されつつある。ただ複雑系がいい訳ではない。複雑なままでは人間の思考をかえって混乱させて判断を妨げる。複雑なものを大事なものを切り落とさないでわかりやすくまとめるのが大事である。世の中の「先生」と呼ばれる、政治家、医者、弁護士、教師、宗教家これらはみなそのために存在する職業である。それをしないで極端に単純化し万人受けを狙うのはただの詐欺師である。

*1:まだ彼のマニフェストを読んでいないので内容の論評は今回は避ける