外来保守主義は異文化を受け入れ吸収してきたこれまでの日本の文化成形プロセスとは違う!

 昨日のエントリーの真意が一部伝わっていない感がありますので補足します。
 伝統というのは古いものを残すだけで意味を成すものでなく、新たなものを吸収し更に洗練させて価値を増してゆくものであります。
 日本の文化のすばらしいところは、「新たなものを」を古いものを否定し再構築することなく、プラスアルファとして吸収し融合・洗練化していったことにあります。世界史を見ますと、あるゆる国で政権交代時に文化破壊、文化否定が行われ、文化の蓄積、洗練化がなされない状況で現代を迎えており、残念ながら魅力的な固有文化が育っていないネーションが多く存在するのも事実であります。

id:enemyoffreedom さん
外来の思想や倫理を換骨奪胎して日本化していく得体の知れない雑食性こそが"日本の伝統"なのだと思う。

 という意見はご尤もで、異議はありません。
 ただ外来保守主義というのは、日本がかつて中国の文化を受け入れて自国流にアレンジして日本文化の一部として昇華させていったプロセスとは全く異質のものであります。
 日本は古代、中世において、日本固有の文化とは異なる先進文化として捉え、意欲的に吸収しようとしました。その中で洗練化する作業が為されてきました。
 ところが、外来保守主義というのはあたかも古くからの日本の伝統的価値であるかのように「成り済まし」潜伏するのです。その中で日本人は異文化という認識をもたないまま無条件に受け入れ、洗練化というプレセスも受けないまま混在してしまう危険があります。異文化が試験を受けないまま裏口入学してしまうようなものなのです。

id:sunafukin99 さん
外来文化を否定したら漢字などの中国文明も仏教思想も古来の伝統ではなくなってしまいますよね。

 私は異文化排除論者ではありません。異文化を吸収したこそ「伝統」というものがより昇華し価値を増すのですから。日本は古来の土着宗教を否定せずに仏教を受け入れたのは非常にすばらしい結果をもたらした訳です。むしろ明治時代の廃仏毀釈神仏習合という日本に既に定着していた伝統文化の破壊行為であり、日本の土着信仰を無理矢理世界宗教の真似をして体系化しようとした国家神道の成立などは反伝統の極地なのであります。