自民族による悪政か? 他民族による徳政か?

19世紀のドイツの哲学者ヘーゲルプロイセンの封建的秩序に抗し、ナポレオン率いるフランス軍のドイツ侵攻に当り、ナポレオンこそプロイセンの古い官僚体系を徹底的に清算し,革命精神を伝播させと期待し、「ナポレオンこそ生きた世界精神であり,ドイツ国民はむしろフランス革命軍の側に立って旧体制と戦わなければならない」と主張した。
当時は民族意識も未成熟の段階で、結果的にナポレオンのドイツ侵攻がドイツ民族意識を興隆さたとも言え、その前の出来事を現代の価値観でどうこう言うのは無理があるかも知れない。
ただ私には、自民族による悪政より、他民族支配による徳政の方がいいという気持ちはなんとなく理解できる。例え売国奴と罵られようとも。
20世紀初頭の朝鮮で考えると、金玉均・朴泳孝・徐載弼らの開化党や尹始炳、李容九、宋秉蔲らの一進会もそのような気持ちで親日的な態度を取ったのであろう。彼らを一方的に糾弾するのは簡単だが、歴史的総括としてそれが正しいとは思えない。ましてや法律で財産を没収するなど、民族的感情に駆られ近代法を捻じ曲げた悪しき汚点でしかない。

日本人の多くは、戦後のアメリカ占領を結果的に「自民族による悪政より、他民族支配による徳政の方がいい」という気持ちで受け入れた。結果的には非常に賢かったと思う。
 今でこそ「戦後レジームの脱却」等とアメリカ占領体制をネガティブに捉え、当時のアメリカに平伏した日本人を糾弾する輩も増えているが、戦争を知らない戦後世代の戯言としか聞こえない。これこそ一種の平和ボケではなかろうか。