農業問題 なぜ日本産農作物輸出で騒ぐ

 確かに明るい話題だ。それ自体悪い話でない。でも、政治家の農業問題の演説の中で、なぜこの話題が大半を占めなければならないのか?
 アメリカ、カナダ、オーストラリア等、農産物輸出が重要な経済ファクターの国ならともかく、食料自給率が40%を切るわが国において、これが本質的テーマであろうか。
 敢えて、日本産農作物輸出の意味を考えれば、海外での日本産農作物の高い評価が、日本国内での国産農産物の高価格化に繋がる点だ。もう一つは、1990年代に盛んだった農産物の内外価格差に対する都市住民の不満をリデュースする効果だ。海外でこれだけ評価されている日本産は高くて当然だという意識を流布しることにより可能になる。
 1980年後半に、アメリカは日本のマスコミや広告代理店を使って、都市住民に対し、「高い農産物を買わされている」「農村ばかり重視し、都市住民を軽視する政治」などを流布し、都市住民の世論を跋扈させて、農産物輸入自由化への日本国内世論醸成を行った。
 本質的なテーマは、やはり日本はどこまで食糧自給率を上げられるかではないか?もちろん高級農作物を作ることによって農家の収入は上がり、農業に夢を託す人が出てくるかも知れない。しかし高級食材はカロリーベースで微々たる存在だ。普通の人が普通に食べる食品をどれだけ自給できるかがテーマではないか?