「改革万歳!」の第2世代政治が終わったのか?

 日本の戦後政治は、55年体制或いは冷戦下の基準として、保守VS革新或いは自由主義VS社会主義という指標で語られてきた。これを第1世代基準としよう。その後80年代後半以降、改革派VS守旧派という指標が登場し、第1世代基準を凌駕してゆきうようになった。
 第2世代の改革派には、新自由主義に魅了された第1世代の自由主義陣営から流れた者と同時に、学生運動経験のある全共闘世代がかなり流れ込んだ。90年代はまさにこれらの世代がマスコミで主導権を握るようになり、全国紙や東京キー局の報道は第2世代的改革推進論一色になった。
 第1世代的価値観で左右両極にあった新聞も、歩調を合わせる様に「改革万歳!」という論調に変わって言った。
 90年代前半には、政治改革のために、日本に政権交代可能な二大政党制が必要であり、そのためには小選挙区制を導入しなければばならないという主張がマスコミを凌駕し、小選挙区制度導入に反対する政治家には守旧派のレッテルが貼られた。*1
 物事を単純な二分論で論じ、敵か味方かの白黒で論じるのは、第1世代の左翼の影響である。元サヨクが第2世代の議論に第1世代の左翼的二分論を持ち込んだのである。日本の政治は彼らの思うがままになり、第2世代の改革論の結果、2000年代には第2党として結果的に民主党に集約し、また自民党小泉時代に入り改革政党の色彩を強め、二党による改革競争の時代に突入した。
 ところが、既に第2世代の時代が終わっていると言うのである。既に多くの人が改革という言葉に対し無条件に魅了されなくなっているし、宗教的なお題目でなく、より現実的な成果を求めるようになった。まだ形が見えないが、ここれを第3世代としよう。今回の参院選は第2世代の曲がり角であったと言える。ただ第2世代の終焉とまでは言い切れない。
 なぜかと言えば、今回の選挙での自民党の候補者の多くが第1世代の候補者で、民主党の候補者が第2世代と第3世代の混成部隊なのである。党首は第1世代の残り香がする第2世代。この選挙結果では第2世代から第3世代に以降したとは言えないのである。政治家の新陳代謝の少ない参議院は、政治のスピードに付いて行けてない。
 ただわかるのは第3世代が第1世代の復活ではなく、また新しいものであるということである。もし同質で先祖帰りであれば、参院自民党津島派の候補者が全滅することはなかったはずだ。 

*1:当時小選挙区制度導入に反対していた小泉純一郎はこの当時マスコミに守旧派のレッテルを貼られていた。